UniFi Dream Routerを買った話

# 概要

自宅と実家それぞれ1台ずつの計2台、UniFi Dream Routerを導入しました。 アプリケーションとしては自宅はNetwork(SDN)のみの構成、実家はNetwork + Protect(監視カメラ)の構成です。実家はUniFi Dream Machine Proからの移行のため、移行の手順なども検証することができました。

Wi-Fiは快適、Protectも容量とフラッシュドライブの問題はありますが、工夫次第でなんとかなりそうな感じでした。価格も手頃、外装も綺麗、小さくまとまっており設置スペースも自由度が高いため、ご家庭への設置におすすめのルーターだと思います。(もちろん小さなオフィス、店舗にもおすすめできる製品だと思います。)

また、実家にはU6-Proも導入し、UDRと併せてかなり広範囲を高いWi-Fi Experience(UniFi用語)でカバーすることができています。

実際に使用しての所感だけではなく、移行の方法も備忘録もかねて記録したいと思います。

# 導入背景

以前からUniFi機器を仕事で触ったりしていた関係もあり、2020年に実家にG3 Flexを導入したり、UniFi Dream Machine Pro(UDM-Pro)を導入したりして、Network + Protect構成にしたりしていました。

その後、徐々に家庭内のUniFi Switchを増やしてきて、実家内で発生するほとんどのWiredトラフィックはUniFi Switchのポートで受けるネットワーク構成になっていたのですが、Wirelessのほうは、UniFiのWi-Fi 6対応モデルが日本では入手難しいということもあり、手つかずのままでした。

もともとはUDM Pro導入済みの家庭というのもあり、UDM Proと組み合わせる形でU6-LiteやU6-Proの購入を検討していました。ただ、もともとUDM Proが実家にはオーバースペック気味で適切なキャパのルーターにダウンサイジングした方がスマートなのでUDRがずっと気になっていました。

# Installation

UDRが届いたらWAN側の回線とAC電源をつなぎ、モバイルアプリのUniFi Networkでデバイスを追加することでセットアップが開始できます。 ただ、私のAndroidでは何故かこれができず、いろいろ試してみたところPixel WatchとスマートフォンとのBLEコネクションが影響しているようで、 Pixel Watchを機内モードに変更することでデバイスを追加できました。 あとはWi-Fiネットワーク情報を設定するだけで最初のセットアップは完了できます。

基本的にはここまででWi-FiやIPv4でのインターネットの利用はできるのですが、以下のような場合には追加の設定が必要でした。

  • Wi-Fiの使用帯域幅を増やす(HT80とか)
  • WAN側で受けたIPv6アドレスをLAN側にDHCPv6で配る(IPv6インターネットを使う)

また、MAP-EやDS-Liteを終端することは現時点ではできないので、MAP-E環境ではHGWで終端し、LAN側にUDRをおくような二重ルーターとする構成が必要です。

# UDM Proとの違い

# アプリケーション実行制限

UDRではCPUコア数がデュアルコア(UDM Proはクアッドコア)なこと、RAMが2GBと少ないからなのか、アプリケーションの実行や構成に制限がかかっています。

UniFiでいうアプリケーションとは、Network, Protect, Talk, AccessのUniFi印のフィーチャーの単位のことです。

UDRでは実行できるUniFiアプリケーションが2つまでに制限されており、また、Networkも必須なので実質追加で1つのアプリケーションしか動きません。

また、UniFi Protectでは4Kカメラ一台か、HDカメラ4台までしか構成できないようです。それ以上使いたければNVR買うか、別のUniFi OS Consoleを買いましょう。

# パフォーマンス

CPUコア数やRAMが少なかったり、アプリケーションの実行制限が入っていたりと、ハードウェアスペックのスケールダウンがパフォーマンスにも影響がありそうなことが示唆されると思いますが、ベンチマークを取ったわけでもないので割愛します。

# 外部ストレージがmicroSDカード

UDRではUDM Proと異なり、Protect録画用の外部ストレージが128GB以上のmicroSDカードになっています。UDM ProのようにHDDであれば大容量の監視カメラ録画用HDD(WD Purpleなど)を選択できますが、microSDではそうもいきません。microSDの場合は、通常書き込み・書き換え回数に性能上の限界があるため、常時録画に適した製品を選択する必要があります。今回は Samsung PRO Endurance 256GB (opens new window)を選択しました。MLCではないようですが書き換え回数に余裕があるためです。

容量の面で以前はWD Purple 3TBをUDM Proに導入していましたが、256GBのmicroSDではキャパとして以前の1/6となるので、Protectの録画フレームレートや画質を下げたり、モーション検知録画を設定してみたりして様子を見ています。

# UDRのよい点

数年前のUniFiでいうところの UCK + NVR + USG + USW(PoE) + UAPが一つにまとまっており、一般のご家庭でも管理しやすいと思います。 また、導入コストは家庭用AP付きルーターよりは高額ですが、業務用ネットワーク機器のサブスクリプション費用と比較するとTCOの面でとても低いのではないでしょうか。

これはUDRのハードウェアとはあまり関係がありませんが、UniFi NetworkのWebコンソールが一昨年くらいにリニューアルしており、操作感が改善していました。業務用ルーターでここまで使いやすいWebコンソールを備えた製品はあるんだろうかと思います。

# UDRの悪い面

前述の通り、パフォーマンスに制限があり、ブート時間が少し長いような気がしています。 また、WANもLANも10GbEに非対応なので、10GのWAN回線ではボトルネックになります。幸い、私の住んでいる地域には光クロスはまだ来ないので、しばらくはUDRを使い続けることができそうです。

Protectで利用する外部ストレージがmicroSDしばりなのも選択肢がなく良くなかったです。せめてUSBストレージが使えればよいのですが。

UDR